Painter 8 BEGINNER'S GUIDE

Painter8

その他の変更箇所

Painterのバージョンアップは,「機能変更」が必ずしも「機能改善」ではありません。ここでも「改変」または「変更」という言葉を使っているのは,それがすべてにおいて「改善」ではないからです。しかし,ここでは,あえて「改善箇所」も「改悪場所」も紹介していきたいと思います。

各パレットにドロップシャドウ

MacOS Xのアプリケーションでは,各ウインドウやパレットには,標準的にドロップシャドウがついています。しかし,Painter7をOS X上で動作させても,パレットにシャドウがついておらず,見栄えが悪かったのと,パレット感覚がとぼしかった印象がありました。Painter8からは,パレット類にもシャドウが落ちており,浮き出たイメージが出ています。

レイヤーパレットの機能が格段に向上

レイヤー機能に搭載されたのは,レイヤーマスクだけではありません。まず,Painter7まではオブジェクトと呼ばれるパレットグループのなかのひとつに過ぎなかった「レイヤーパレット」が独立して表示できるようになりました。独立して表示した場合は,レイヤーパレットサイズを縦横自由に調節できるため,一度に多くのレイヤー数を表示できます。また,サムネイル表示も追加され,サムネイルサイズは小・中・大の3種類から選べます。

新規レイヤーを作成するショートカットキーも追加されました。MacOS Xで新規フォルダを作成するショートカットと同じ,command + shift + Nで可能です。こまかい機能ですが,たいへん使いやすくなっています。

シェイプのハンドルが簡素化

左が,Painter7までのシェイプハンドル。作業中であるインダストリアルストライプで,非常に個性的でした。右が,Painter8のシェイプハンドル。そっけないものになってしまいました。少々,さみしいです。

カーソルタイプ変更機能

おそらく,プラットフォームによる差異をなくすことが目的だと思いますが,カーソルタイプのかたちが変更され,なおかつ,カーソルの色を選べなくなりました(Mac版のみの機能だったようですが,Painter7まではカーソルカラーを選べました)。これも,少し機能が低下したようでさみしく感じる部分です。

ブラシパレットがブラシセレクタに変更

Painter伝統の,「任意に複数のブラシを前面に出しておき適宜持ち変える」という機能がなくなりました。鉛筆で線をひいていて,消しゴムを使いたくなったら,常にプルダウンメニューを表示させ,リストのなかから消しゴムを選択せねばならなくなりました。

Painter8.1(アップデートが必要です)よりカスタムパレット機能が復活しました。よく利用するブラシやマテリアルを、カスタムパレットに登録することでプルダウンメニューから選択する必要がなくなり、ある程度、Painter7以前のパレットに近い操作感覚となります。

悪いだけでもありません。Painter8にも改善点もあります。キャンバス上でコンテキストメニューを表示させたとき(control + click)バリアントを変更できるようになりました。こちらは便利です。

また,ブラシストロークの一覧が見えるなど,ブラシ選択時の直感性が増しているという考え方もできます。

いくつかの機能低下が残念

以上で,Painter7から,Painter8にバージョンアップするにあたっての変更箇所・改善・改悪に関する説明は終わりです。レイヤー機能の大幅なパワーアップは大変,使いやすくなっており,好感が持てます。対してブラシセレクタ(ブラシパレット)の機能低下は残念でなりません。